#アパレル・ファッション

【特別座談会】カリスマ店員が語る、私が“売れっ子”になれたワケ

仲さん / Hanadaさん /植竹さん/ mikiさん

#アパレル・ファッション

2023年9月28日に開催された日本一の店舗スタッフを決める接客コンテスト「STAFF OF THE YEAR2023(以下、SOTY)」。全国約8万人のアパレル店員の中から、3代目のグランプリとして頂点の座を掴んだ「UNITED ARROWS」新宿店の仲さん、そして、ファイナリストとして最終決戦を戦った「TOMORROWLAND」吉祥寺店(2023年12月現在は「CABaN」麻布台ヒルズ店所属)のHanadaさん、「rienda」新宿ルミネエスト店の植竹玲菜さん、「La boutique BonBon」新宿ルミネ2店のmikiさんの4名による座談会を開催。「STAFF OF THE YEAR」がもたらした変化や、接客する上で大事にしていることなどを語り合いました。

STAFF OF THE YEAR 2023にエントリーしたきっかけは?

――今大会は、様々な個性を持った店舗スタッフの活躍に光が当たりました。仲さん、Hanadaさんは、時短勤務という制約のある中で、素晴らしい活躍をされました。お二人のエントリーのきっかけを教えてください。

仲さん(「UNITED ARROWS」新宿店):実は昨年も一次審査を通過していたのですが、勇気が出ず、辞退していた経緯があります。

会社から個人表彰を受けたことが責任と自信に繋がり、今年こそは挑戦してみようと出場を決めました。

仲さん(「UNITED ARROWS」新宿店)プロフィールはこちら

Hanadaさん(「TOMORROWLAND」吉祥寺店 ※):参加するかどうするか迷っていた際に、店長から「夢あるじゃん」と背中を押されて出場を決めました。

最終審査当日までの数か月は、自分を奮い立たせるのに必死でしたね。今の会社で働いて17年、弊社はこれまで、そこまでスタッフを前面に押し出すカルチャーはありませんでしたが、そういった中でも自分を代表として選んでくれたことは大きな自信になりました。こうして他社のスタッフの皆さんとの繋がりもでき、参加して本当によかったです。

Hanadaさん(「TOMORROWLAND」吉祥寺店 ※)プロフィールはこちら
※2023年12月現在は「CABaN」麻布台ヒルズ店所属

――出場にあたって、力を入れて取り組んだことを教えてください。

仲さん:新宿店は日中忙しいため、始業前に撮影を行いました。季節が7月~8月頃だったため、衣替え・買い替えの提案を意識していました。

Hanadaさん:私も時短勤務で、仲さんと同じように早出して撮影しました。さらにInstagramでお客様から要望を募り、それぞれの要望に沿ってコーディネートを考えDMで送る取り組みをしていました。自分がママだと公開していることもあり、子育て中のママさんから、保護者会や、海や川に遊びに出かける際のファッションなど、シーンに合ったコーディネートに関するリクエストいただくことが多かったです。

――SNSの発信も強化ポイントだったんですね。どんな反響がありましたか。

Hanadaさん:私の場合は、STAFF STARTの投稿を見てSNSアカウントをフォローしてくださるお客様が多く、コーディネート投稿から商品を買っていただくことが以前からありました。今年はSTAFF OF THE YEARに参加したことで、これまでやりとりのなかったフォロワーの方から励ましのDMをいただくなど、お客様とのつながりを一層感じる機会になりました。

仲さん:期間中、スタイリング投稿頻度を上げたことで、STAFF STARTのフォロワー数が大幅に伸びました。店頭で声をかけられる機会が増え、「受賞おめでとうございます」とたくさんの方にお祝いの言葉をかけていただきました。

植竹玲菜さん(「rienda」新宿ルミネエスト店):私も、お客様からDMで応援のメッセージをたくさんいただきました。日頃から、SNS上でのお客様とのコミュニケーションを大切にしてきましたが、STAFF OF THE YEAR を知らないお客様にも広く知っていただけたらと、いただいたDMをストーリーに転載する形で返信していました。大会が終わった後も、ねぎらいの言葉をかけていただき感動しました。来年も、ぜひリベンジしたいです。

植竹玲菜さん(「rienda」新宿ルミネエスト店)プロフィールはこちら

――接客ロールプレイングでHanadaさんは、お客様に扮するお笑い芸人スパイク・松浦さんの「“19色ボールペン”の商談をする時に着る服」という難しい要望に、素晴らしいコーディネート提案で応えていました。狙い通りの展開だったのでしょうか。

Hanadaさん:全く想定しておらず「19色ボールペン」と聞いた時は、頭が真っ白になりました。ただ、社内の接客の講師から「お客様のニーズを聞き取った後に映像化しなさい」と教わっていたので、カラフルなコーディネートを提案しようと気持ちの切り替えができました。当日提案したブラックとネイビーのリバーシブルスカートにカーディガン、デザインスカーフの組み合わせは、私にとっても初めてのコーディネートで、とっさの判断で提案したものです。

――機転を利かせて対応したんですね。

Hanadaさん:リバーシブルのスカートは小ネタとして、大会に向けて何十回とスカートをひっくり返す練習をしていたのですが、まさかあんな形で披露するとは思ってもみませんでした。実は、当日提案に用いたカーディガンは会長自ら手掛けるブランドのもので、大会後、会長から直接、ねぎらいの言葉をかけていただきました。スカートを企画開発した担当者にも、「試行錯誤して作った商品を、紹介してくれてありがとう」と言ってもらえ、私自身とても嬉しかったです。

STAFF OF THE YEARがもたらした、前向きな変化や反響とは?

――STAFF OF THE TEAR後、ユナイテッドアローズでは、販売に係るDX活動において優れたパフォーマンスを発揮するスペシャリストを評価する仕組みとして「DXセールスマスター」制度が新設され、仲さんはその初代DXセールスマスターとして認定されています。他の皆さんは、本大会に出場したことでどんな波及効果がありましたか。

mikiさん(「La boutique BonBon」新宿ルミネ2店):La boutique BonBonは、パルの他のブランドと比べると小さいブランドです。社内の接客大会にも、La boutique BonBonのスタッフが出場したことがなかったのですが、今回初めて私の後輩が出場することが決まりました。

それだけでなくSOTYに触発されて新たにオンライン接客の取り組み始めたスタッフが何人もいます。実際に、その投稿を見て来店してくださるお客様もいらっしゃって、ブランド全体にポジティブな影響を与えられたのではないかと思っています。

mikiさん(「La boutique BonBon」新宿ルミネ2店)プロフィールはこちら

――mikiさんはSTAFF START経由の売上上位を独占しており、高い実績を誇ります。ファン作りで意識している点を教えてください。

mikiさん:一貫性です。STAFF STARTもInstagramも「デートに行きたくなる洋服」をテーマで投稿を行っています。一貫性あるアカウント運用を行うことで、お客様も安心感を持って接してもらえると思うからです。

オンラインとリアル、接客の仕方に違いはある?

仲さん:私の場合は、「UNITED ARROWS」と「BEAUTY&YOUTH」の2つのアカウントで投稿していますので、たくさんの方に見ていただける環境が整っていると思います。

意識しているのは、直接売上と間接売上です。特に、「BEAUTY&YOUTH」のアカウントでは、間接売上のデータを見て、私のスタイリングを見てくださった方が、他にどんな洋服を買われているのか必ずチェックするようにしています。

オンラインの場合は、直接お客様と接する機会を持てないため、データを参考に、お客様のニーズを想像しながらコーディネートを組み立てています。

サイズ違いや、同じ商品の着回し投稿にも力を入れています。

同じスカートでも、トップスが違えば印象や雰囲気が変わりますし、お客様にとっては比較検討のための重要な要素になると思うからです。

店頭ではサイズ違いを試着するお客様がたくさんいらっしゃいます。ECサイトでは、実際に試着できない代わりに、私が履き比べて差し上げる意識で、サイズ違いの投稿を行っています。こういったことは、普段、店頭で接客している立場だからこそ気づける視点なのかなと思います。

――mikiさんも着回し投稿を積極的に行っています。その理由を教えてください。

mikiさん:主に2つ理由があります。1つ目は、長く着てもらいたいという理由です。「La boutique BonBon」のお客様の大半は若年層。若い世代のお客様にとって、「La boutique BonBon」の洋服は、決して安い買い物ではありません。ですから、少しでも長く購入した洋服を着てもらいたいと考え、手元の洋服との組み合わせの参考になるよう様々な着こなしを提案しています。

「日常生活をよりハッピーに」「自分自身をもっと好きになる」というブランドのコンセプトを体現したいというのが2つ目の理由です。

付き合い始めた日に着た服をその翌年の記念日にも着ていただければ、その洋服は特別な1着になるはず。お買い求めいただいた洋服がかけがえのないものとなり、少しでもお客様の人生を彩れるようにとの想いから、積極的に着回しの投稿を行っています。

――植竹さんは自身の個性を活かし「低身長コーデ」を得意としています。

植竹さん:「rienda」は女性らしいデザインが魅力のブランドで、着丈の長い服もあります。ECサイトでは店頭のように試着ができないため、特に長い丈のお洋服は、身長が高い人にしか似合わないと誤解されていることが少なくないんです。

そこで、154センチという自分の小柄な体型を活かし、全ての投稿に「低身長コーデ」とタグ付けを行い、低身長のお客様向け専門にコーディネートを発信しています。ポイントは、投稿の習慣化です。新宿店に異動になってすぐの頃は、投稿も売り上げもほとんどなかったのですが、大きな成果を出せるようになりました。

オンライン接客の成績に応じたインセンティブは、モチベーションの源となっています。

接客で成果を出すためのポイントとは?

――Hanadaさんの投稿は、カラーを取り入れたコーディネートに特徴があると感じます。意図的なものでしょうか?

Hanadaさん:思うように成果がでない時期ってあると思うんですが、そこで諦めてはダメで、成果を出すには継続性がとても重要なんですよね。

売上を追うだけでなく、投稿する動機やモチベーションを持つことが大事で、私の場合は、お客様のファッションの幅を広げることを投稿の目的のひとつとしています。アイテムを悩んだ際に、あえて自分が普段選ばない方の服にチャレンジしてみるというのは、新卒1年目の時に店長に教わって以来、ずっと自分に課していて、投稿の時にもそれを心掛けています。

「この洋服は好きだけど、自分には似合わないかも…」と悩むお客様は意外と多いのですが、どう着るか、どう組み合わせるかによって印象は大きく変わるものです。

販売員の役割は、お客様に似合うコーディネートを提案することだと思っていて、そのために私自身も色々なスタイルに挑戦しています。

個人的に私は寒色より暖色が似合うタイプだと思うのですが、投稿を客観的に見ると寒色でも似合うなと思うこともあって。自分が実際に試して感じたことや、エピソードを交えながら、お客様の接客にあたっています。

――投稿の際、他に意識していることはありますか。

Hanadaさん:ポージングですね。パンツとスカートで立ち方を変える工夫するなど、投稿がマンネリ化しないように気を付けています。また、画像では伝わりにくい着心地やお手入れの方法については文章でフォローするようにしています。

仲さん:私の場合、Hanadaさんとは対照的にいつも同じポージングで撮影しています。撮影できる場所が限られているのと、始業前のわずかの時間で一定クオリティのものに仕上がるよう追求した結果、今のスタイルに辿り着きました。

植竹さん:私もSTAFF STARTの投稿の場合は、洋服がきちんと見えるよう正面を向いて撮ることが多いです。フォロワー層である若年世代に向けた発信を意識していて、若い子たちがよく見ている韓国アイドルのプロモーションビデオや、著名なインスタグラマーの投稿を参考に、ポージングや表情の参考にしています。

mikiさん:様々な個性やスタイルのスタッフの着こなしを参考にできるのは、一消費者として、とても有難いことですよね。

私は地方出身で、好きなブランドのお店が近場にない時に、実際にスタッフの方の投稿を参考に買い物をしていました。リアルな投稿があるのとないのとでは、購入する際の安心感がまるで違います。

コロナは落ち着きつつありますが、お客様の利便性を考えれば、STAFF STARTを通じたオンライン接客はこれからもなくてはならないものであり、私自身投稿を通じて少しでもお客様のお役に立ちたいと考えています。